ぴろぴろ

ティルのぴろぴろのレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
4.5
1955年にアメリカで実際に起こった『エメット・ティル殺害事件』
きっとこの母親は、「あの時どうして、よぎった胸騒ぎ、イヤな予感に従って中止しなかったのだろう」
「あの時どうして、子供にもっと強く南部の差別の恐ろしさについて具体的に強く言って聞かせなかったのだろう」
と、何度も何度も自問して、悔いて、泣いたのだと思う。
大人になっても実際に体験してみないと分からない事は多い。  まして14歳はまだまだ世間知らずで無邪気で悪気がなくて。
本当の意味で知らなかった事が命取りになってしまった。
息子を酷いリンチで殺された挙句、茶番劇の様な裁判。
母親の、深い悲しみと絶望、悔しさ、怒り、そして覚悟と勇気を見事に演じたダニエル・デッドワイラーが素晴らしかった。

最後に、事件の当事者のその後の人生が語られ愕然とした。  どんな気持ちで生涯を送ったのだろう。  良心の呵責に苛まれることは無かったのだろうか。  そして当事者の子孫や親族は、今どう考えているのだろう。

この問題は日本人の私には考えが及ばないほどに根が深いのだと痛感した。
そしてそれは現在も続いているのだ。
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