Cate Blanchettを拝むための映画。
あの迫力と存在感で演じ切れるのは彼女以外いないでしょう。
歩き方や腕の振り方まであらゆる所作が完璧にチューニングされており、ワンカットの長いシーンや難解なダイアログにもぐっと引き込まれます。
類まれな成功の裏に潜む闇。才能と名声を手にしているからこそいとも簡単にその力を乱用し、人を利用し、傷つける。
"Should we separate the art from the artist?" (芸術と芸術家は分けて考えるべきか)という問いが込められているような気がします。
ストーリーの結末自体、分けるべきだというメッセージとして解釈できなくもないですが、どうしてもTarが嫌いになれない。
"woke"な考えに同調しない、自分の流儀を頑なに貫き通す姿を尊敬の眼差しで見てしまう。
決して許されるべきでない罪を犯していながら、人間離れした彼女がより一層人間に見えてくる。
"the suffering artist"のステレオタイプを助長するような作品であることは個人の価値観として少しマイナスではあるものの、見応えがあり、アカデミー賞ノミネートも頷けます。
EEAAOのMichelle Yeohの主演女優賞受賞はとても嬉しかったけど、やはりCate Blanchettも負けず劣らずでした。