たくみ

TAR/ターのたくみのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
ある意味満点の映画。

ベルリンフィルの首席指揮者のリディア・ター。勿論架空の人物なんだけど、徹底的に設定が作り込まれてているのですごくリアル。

彼女は同性愛者で、女性だけどとにかく振る舞いが男性的。それもあまり良くない意味で…

妻(パートナー)も居るし、娘(養子)も居て、家庭をささえる大黒柱。家庭より仕事第一で浮気は芸の肥やしと言わんばかりの奔放。そしてエキセントリック。

ターの完璧な生活に黒いシミの様に広がる不協和音。姿が見えない脅迫者、幻聴、そして…

怖かった。でもあまりにも難解なので観終わって数日経ってからやっとその怖さに気付いたって感じ。

ものすごい問題作で傑作。ちなみに主演のケイト・ブランシェットは今作でオスカーを受賞。さらに彼女は今作を最後に引退を考えていると言う。未だ50代半ば。役者が引退を考えるには早すぎる年齢だけど、それくらい今作で自身をすり減らしたって事なんだろう。

もう一度観たらもっと理解は深まる気はするけど、この暗黒に引き込まれそうでちょっと怖い。
たくみ

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