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TAR/ターのsnatchのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ラスト、自分にはここしかないとまたあの場所に立つ♾️ここは純粋無垢な音楽が満ちてくる

…考え出すとどのシーンも引っかかてくる挑発的な映画でした。皆さんのレビューの様々な観点も読み甲斐があった

特に私に刺さったのは、ひとりの若い女性の死と、社会的な制裁抹殺を受けたひとりの中年女性
今は恐ろしい世界だなと改めて思った

クリスタの顔も性格も真実もわからないが、リディア・ターは自分の地位の権力を使い各楽団にクリスタを雇わないようにメールする。各楽団は従う
それによりクリスタの精神バランスが崩れ、リディアに対してストーカーのような行動もしている
今、クリスタと同じ副指揮者見習いで秘書の立場にいるフランチェスカは、クリスタに同情しながらも、自分の夢を実現するためにリディアの卑劣な行為を黙認している
そして、クリスタの命が本当に絶たれる

フランチェスカの自責とリディアに対する嫌悪、リディアの教え子による編集動画の拡散、SNSやメディアによる誹謗中傷が瞬く間に巨大化肥大化
妻からの信頼も失い愛する養女とも会えず…リディア1人VS顔の見えない世界からの一斉攻撃が始まる

この映画は扉のフレーム枠の重層を映すシーンが多い。リディアと妻の家の中も部屋を抜けて抜けていく
関係は近いようでいて遠く、それに引き換えメールやSNSは心の中にズブズブと侵入する

反撃しても元には戻れない戦い
あっという間に丸裸にされ全身傷まみれ
リディアの足は遠のいていた生まれたホームにと向かう
そこには自分と音楽二人だけの愛し合う関係がまだあった

東南アジアに行き着いて、あそこで気に入った女性を選ぶ行為に、心臓に毛が生えているリディアでもさすがに吐き気をもようす

そしてラストは、私が最初に書いたラストの場所に立つのであるが、コンマスの第1バイオリン奏者の肩にリディアが触れただけで、この映画がやがてもとの位置に戻るような気もしてしまった。昔、会社にいた、いつも肩を触って励ますハゲおじさんを思い出してしまった!😬
あっぱれリディア🪭とは言い切れない何かどす黒いものも漂ってきた


👑ケイト女王様の怪演はひれ伏すばかり🪭
映像は塵一つ落ちていない磨き抜かれたような空間が繰り返し映るので、正体不明の音や隣人の生き死に、夢、得体の知れない地下空間に接する時の、精神的にぐにゃあと受ける感覚が妙に生々しかった
あと、外国での予告編はこの作品にはない映像ばかりで驚きました!🤩
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