Kiki

TAR/ターのKikiのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.5
「リアルすぎ…」見終わった後の第一声。
芸術の世界のパワハラやセクハラといった点や性的マイノリティといった点、どれもリアルな人や実際にある事柄ばかりを思い出して見ていて共感を通り越し、少々しんどかったレベルでした。

近頃やっと世間で問題になったことで、当事者ではない人々でもあらゆる場所で批判の声を上げている場面も多く見ることができるが、今でも常識として通用する業界も多々あると思う。

そんな常識を【TAR】は驚くほどリアルに再現していた。権力者のパワハラ、セクハラはもちろん。感覚過敏によるストレスや、立場を利用してのし上がり、またそれを利用してくる存在の登場。性的マイノリティ界隈にて構築されるあれこれ。

大好きなケイト・ブランシェット演じる主人公リディア・ターという人物はそれらの問題をまとめて体現した、実際に存在する人物かのように生きていた。

実際にこんな人物がいたら軽蔑するレベルのことをやっているのに、私はリディア・ターを心の底から嫌悪することができなかった。
それもこれもケイト・ブランシェットが演じたから、他の人が演じたら嫌悪感しかないと思う。
それ程ハマっていた。

彼女の弱さやそれを自覚した時の心境が最後まで丁寧に描かれていたおかげで、ターという人物をより立体的に感じることができた。

オケの並びと最後のガラス越しのあのシーンこちらまでゾッとした。

ケイト・ブランシェット様素晴らしすぎる。
カメラアングルによる心理描写も秀逸。
Kiki

Kiki