Momo

TAR/ターのMomoのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます


あらすじコピペ
世界最高峰のオーケストラの一つであるドイツのベルリン・フィルで、女性として初めて首席指揮者に任命されたリディア・ター。彼女は天才的な能力とそれを上回る努力、類稀なるプロデュース力で、自身を輝けるブランドとして作り上げることに成功する。今や作曲家としても、圧倒的な地位を手にしたターだったが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャーと、新曲の創作に苦しんでいた。そんな時、かつてターが指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは、追いつめられていく……。

***
見た後すぐにネタバレあらすじ考察を見たらもう一度観たくなって、すぐに観たい部分だけ見直すつもりが気づいたらもう一回通してで見てた。
2回目の方がより一層面白い。

・ケイト・ブランシェットの演技が凄すぎる。リディア・ターそのもの。
低音ボイス。男勝りな言動。

・登場人物それぞれの細かい表情。セリフがなくても顔が死ぬほど語ってるときある。
ちょっと無理して笑ってるなあ、とか、顔引きつってるなあとか。
セリフでちょっとした嫌味とかカマかけとかも多い。

・ターが可愛がってる女性や興味ある女性にあからさまにうっとりしてたりにやついてる顔、おじさんで想像すると完全にアウトなのにケイトブランシェットだと、「可愛い」って思ってしまう。でもケイト度外視して自分に興味ない人からこの視線向けられたらって想像したらめちゃくちゃ気持ち悪いやつ・・・って場面が多々あった。
権威のある人、自分の上司だと断れない、とか自分も打算して利用してしまおうと思ったり、とか近年の芸能界問題、ジャニーズ問題に通ずるところがあるのかも、と思ったりした。

・自分が相手に好意がなくなったときのターの態度、最後若いチェリストにちょっとやり返されてて、気の毒な感じだった。
レストランのシーン(ケイトが若い子にめっちゃ気を遣ってる)とか、ホテルでご飯食べに誘って断られたのにドレスアップして出て行ってるのを見てしまったりだとか車の隣でひたすら携帯いじられてるところとかは目も当てられなかった。

年配の人が下の人にするより若い子が年上にしてる方がなんだかいたたまれなさが増す。

女性トップ指揮者の孤独や葛藤、という映画であくまで音楽映画かなと思ってたけど(「セッション」的な)そういうの期待してみたら残念と思うかも。

あえて悪くいうと、そういう意味ではどっちつかずな映画かも。音楽シーンに特化している訳でもない。

音楽的なウンチクも専門用語も多々引用されるけれどそれはあくまで、ターがどういう人物でどういう考えか、どんな心理状態かを表すためのものって感じだった。

どちらかというと日常の中の些細な一コマ的なシーンが丁寧に描かれていて、(言葉なくても表情とかが苦しそうだったり)人の心の脆さとか心理的要素強い印象。

また見たくなるような気がする。ケイトブランシェットを見たいがために。

個人的ハイライトは
・ターが崩壊して、クビになってるのにトイレで隠れて本番始まったら指揮者をタックルしてどかせて蹴り上げるところ。(めちゃくちゃ正装してるのも良い)
みんながどん引きしてて「ああ、ターこれでほんまに終わったな」みたいな空気がズドンとしてる。

・ターが若いチェリストにめちゃめちゃわかりやすく魅かれて、めちゃめちゃわかりやすく、利用されているところ。
「現実!」っていう感じがする。若いチェリストの態度はそれにしても目上の人に対してはあまりにも失礼だなとは思うからその部分は見ていて不快ではある。

・ターが落ちぶれてから、フィリピンにいき(タガログ語だからフィリピンらしい、あと「マーロンブランドの映画のロケ地」であることからも)ラストシーンのコスプレ演奏会までの部分。
特にラストは「え!?終わり!?」と声出たくらいびっくりした。
急に終わったように感じたから。
でも考察を見て割としっくりきたし、2回目見たらすごく良いラストシーンに感じられた。

ラストシーン、(というかこの映画全部)に対して各々の解釈があると思うんだけど、
この人の解釈がすごいしっくりきたのでまた他の感想も見たいし、メモ。https://ameblo.jp/moji-taro/entry-12804317254.html

※フィッシュボウルで吐くところも「???」って感じやったけど、そういう意味かあ、と解説読んでしっくり。
てっきりマッサージではなくて女性を買うところに案内されて怒りで吐いたのかと思った。
Momo

Momo