Liaozhaipi

TAR/ターのLiaozhaipiのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

全体が楽章のよう。
最初はグダっと長くて眠くなるが、最後に向かってどんどん盛り上がっていく感じ。どのシーンも重要なんだけど、最初はちょっとキツイ。ター目線しかない解雇あたりの流れは息する暇もないほど迫ってくるけど。

変な情熱というか、スポ根的な理想を投影していない分、「セッション」よりも落ち着いて鑑賞できた。
師弟関係とポスト争いの駆け引きが、ポリコレやSNSなど現代的な問題と絡んで非常に危ういバランスで描かれていたのも印象的。
最後のゲームオケなんかも、今現在のデジタルネイティブには普通だけど、クラシック畑の人ほど?なんだろうか。

あんなに物音とかに敏感&潔癖だったターが、フィリピンで全く気にならなくなっていたのも面白かった。

オケやマッサージ嬢の目線や仕草で、権力の作動をみせるのは素晴らしかった。
支配する人間の立場の危うさや言動の難しさが丁寧に描かれていて、ロマンティックな人情に回収されないのもまた良かった。
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