猫脳髄

ウディ・アレンの夢と犯罪の猫脳髄のレビュー・感想・評価

ウディ・アレンの夢と犯罪(2007年製作の映画)
4.0
レンタル版は「カサンドラズ・ドリーム 夢と犯罪」に変更されているため、検索に注意を要する。

ウディのイギリスを舞台にしたサスペンス・ドラマ。これで一応「ロンドン3部作」が完結する。野心家のユアン・マクレガーとギャンブル好きだが繊細な作りのコリン・ファレルの仲良し兄弟が、金満家の伯父トム・ウィルキンソンからの不穏な依頼を受けたせいで運命の坂を転がり落ちていく。

カサンドラズ・ドリームとは、兄弟が購入したヨットの船名であるとともに、ギリシャ神話のカサンドラ、すなわち未来を見とおせるが呪いにより何人もそれを信じない女予言者のことである。本作では登場人物たちが暗い未来を暗示する夢をよくみるが、実はカサンドラとは、終幕に向けて悲劇が避けられないことを知る我われ観客なのである。観客は徹底的に推し進められる悲劇的展開を予見しながら傍観することしかできないのである。

その意味で、ウディの作品群のなかでも本作は際立った悲劇性を備えた見事な脚本となっている。マクレガーとファレルのパートナー役には、それぞれヘイリー・アトウェルとサリー・ホーキンスを迎えている(36/50)。
猫脳髄

猫脳髄