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天上の花のdarumaのレビュー・感想・評価

天上の花(2022年製作の映画)
4.0
東出昌大さんと、入山法子さんに惹かれて。またもやレアな作品が地元劇場に来る!ということで観ました。お二人ともよかった…東出さんは言わずもがな似合いすぎ。入山さんはドラマ「雪女と蟹を食う」がよかったので気になっていましたが、本作もよかったです。少し通ずるものがありました。

実在の人物の話、という程度には事前知識を持っていたのですが、詳しい事はよく知らずで…萩原朔太郎の話なのかと思ったら、三好達治の話だった。かなり構成が凝っている作りなので(ミステリーとかにありがちな感じ?時間が前後している)、中盤まで「???」が浮かんでいました。夢とか妄想とかなのかな?と思ったら、全部本当だった。。

凄い人だ…

物凄く男尊女卑なんですが、時代背景とか、相手が再婚である事とか(本人もだけど。。この際本人の事は置いておいて)、何となく、三好の気持ちはわからなくはない…とは思った。かなり嫉妬心が強いというか、まさに慶子さんの言うとおり、「美麗な妻」という偶像を愛していたのかな…

慶子も極端すぎる感じだけど、努力はしてるし、自分の美しさが嫌い、というのは、綺麗な人によくある話というか。見た目じゃなくて内面を愛して欲しいのに、誰も本当の自分を見てくれない。そういうのは辛いだろうなぁ…というのもわかる気がする。

終盤、三好が二階の窓から慶子を見る目がめちゃくちゃ怖すぎた…
まさに「まん丸」みたいな。
東出さん、ああいうちょっとイカれちゃった役がうますぎる!

先日「とべない風船」を観たばかりだったので、この人も振り幅凄いな!と思った。
でも、どちらも少年ぽさというか、無垢な感じが共通していて、そういうのがとても似合う。故にやはり作品選びが上手い。
本作は「菊とギロチン」を連想しました。細かいストーリーは忘れちゃったけど、時代的に、かな…?これもアングラ感というか。

余談ですが、脚本の荒井晴彦さんって映画芸術の方ですよね…?昨年(もう一昨年か、2021年)のベストワンが東出さんの「草の響き」なんですよね。映画の企画とどっちが先だったのか、わかりませんが…
個人的には草の響きのほうが好きです。
(草の響きが昨年の私の新旧含むベストだったので、調べて憶えていました)

脇に吹越満さんが出ていて、個人的に直近で観たのが「友だちのパパが好き」だったので、なんかこの人も何かあるんじゃないか!?と思ってしまった(笑)
萩原朔太郎、名前は知っていたけれど、この方のお嬢さんが書かれたのが本作の原作なんですね。

あと、事前に漫画家の浦沢直樹さんが出ると見かけていて、でもお顔がちゃんとわかっていなかったので(でもEテレの漫勉は見た事あったんだけど)、観ている最中はどの方なのかわからず…後で確認したら佐藤春夫!(合ってるような合ってないような…いやでも合ってるような)
何故にこの作品に出演することになったのか…聞いてみたい。

PG12で、エロは思ったよりもありませんが、結構暴力シーンが怖いです。血みどろとかではないんですが、なんていうか…心理的に怖い。そのあたりも含めて、東出さん圧勝です。

偶然「詩人の恋」を観た直後だったので、同じ詩人の恋の話で、少し重なってしまった。
クリエイターの人ってやっぱり、なんていうか、ちょっと普通とは違うのかな…感性が研ぎ澄まされ過ぎている。

構成はちょっとこねくり回しすぎかな…?と思いましたが(実話ベースだから知っている人の為にも敢えてそうしたのかも?)、現代に通じているという意味では、テーマはいいと思う。少し置き換えたらいかにも在りそう。

役者さんの演技を堪能する作品。
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