スワヒリ亭こゆう

ケイコ 目を澄ませてのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
1.5
本作は実在の人物がモデルになった作品で聴覚障害者の女子プロボクサーが主人公の映画です。
その主人公・ケイコを岸井ゆきのさんが演じています。
柔らかい雰囲気の岸井ゆきのさんのイメージからは、かけ離れた役を演じています。
この女優さんの引き出しの多さには毎回、驚かされますね。

で、本作は先程も書いた通り主人公は耳が聞こえない。だけどボクシングをしてプロになり勝ち星も上げている。
普通だって勝つのは難しい筈なのにハンデを背負ってもケイコはボクシングをして尚且つ勝っている。

だけど物凄い事な筈なのに、この映画はイマイチ伝わらない。
ケイコの耳が聞こえない事が映画の中で特別な演出も無く、試合のシーンもケイコの世界では無音な筈なのにセコンドやレフェリーの声やゴングの音などは映画の中で聞こえています。
だから、この映画は誰の目線で描いているんだろう?ジムの会長?
それは違いますよね?
俯瞰で描いているんだとしたら、主人公は聴覚障害者というのはどうしても設定でそうしないといけなかったのだろうか?
実在の人物がたまたま聴覚障害者だった?
いやいやそんな事はないでしょう。

そもそもケイコがボクシングをする意味、動機が見出せなかったんです。
モチベーションが無い選手をリングに上げてはいけないし、選手もリングに上がってはダメですね。
もう少し何かケイコからボクシングへの情熱が見えたら、良かったのに…
岸井ゆきのさんのボクシングの練習量が見て取れるくらい、ボクシング技術が素晴らしかったです。
顔つきも精悍な顔に殺気を纏い、ボクサーとして出来上がってるんです。
でも映画がついていってない感じがしました。

何も伝わらなくて、とっても期待していたので残念でした。