三宅唱監督。本作で鑑賞6本目。夕暮れ時や夜半などの暗めの時間帯が主役ではないか。そこにひとが思いを募らせて時を過ごす。また宵やみのなかでしか、浮かび上がらない色彩や気持ちもあるだろう。時として地と文(人間と自然や風景)が入れ替わるような感覚だ。
音のない世界で生きるケイコ。ボクサーと清掃婦の生活。殴ることがストレス発散。しかしそれにも充足しきれず不安を感じる自己がある。疎外感にも似た感覚。
しかし会長との関係で周りの人々との繋がりを深くしていく。その描き方が絶妙。
癖の強い岸井ゆきのがハマり役。三浦友和も老齢がそのまんま味となっていた。
実在のモデルありのようだが、それとは別に作品として完全に成立している佳作。