ケイコはなかなか笑わない。ただなにかと闘ってた。
ケイコの心情が最後までいまいち読み取れず腑に落ちないまま映画館を出たけど、ある方のレビューを読んでこの映画の奥深さを知れた気がする。
わたしがケイコの気持ちを理解できないことで感じたストレスは、ケイコが音を感じ取れないことで日々抱えるストレスと似ていたのかも。
常に目を澄ませて最大限世界を感じ取り、闘い続ける以外に方法がない。逃げ出したくなる日があっても当然で、笑えなくてもやむなしで、それでも諦めたくない気持ちだけが自分の味方で。
ケイコのように痛くても拳を握り続けて進んでいく。前を向いて。たとえ納得していなくても。諦めない。
そんな日々の積み重ねこそが尊いと、エンドロールの街並みが語っているようでした。
三宅監督の"きみの鳥はうたえる"が大好きで、余計な挿入歌がなく一貫して生活音しかしないところが好きな理由のひとつなのだけど、今回も同じく生活音だけで作られていてそれがとてもよかった。
本作ポスターで"雑音"を"まよい"とト書きしていることも、なんかしっくりきたなぁ。
