音がすごくいい映画だと感じましてね。逆説的にケイコが聴こえないことに強く思いを馳せることになる感覚が生まれて面白かった。
話す言葉が暴力的というか不躾に感じられるような場面とか音響効果も多くあって、ケイコに感情移入しやすくなってるんじゃないかと思ったり聞こえて話せる人は、話すことと言葉が近すぎるんじゃないかなと思ったりもした。
大前提として、ボクシングのシーンがめちゃくちゃよいのよね。岸井ゆきのがめちゃくちゃボクサーに見えるし、動きも顔も試合も本物のようで素晴らしかった。
断絶してるようでどっかで繋がっているというようなモチーフが何度となく示されているように感じたんだけど、聞こえないことでコミュニケーションが取りきれないところが描かれた上でやはりどこかでしっかり繋がりがあるところが言葉でなく行動や環境で示される、真に映画的と言える感じも良かったわ。
試合が岸井ゆきのの顔と反転するのが面白い。
弟がよい。距離感がいいのと音楽やっているのもいい。
行き交う人とか車がいい。音楽が、たぶんかからなかったと思うが、その分自然音が大きく聞こえて、切迫感とか孤独感とかリアリティが上がっててそれも良かった。
