ぶーすか

ケイコ 目を澄ませてのぶーすかのネタバレレビュー・内容・結末

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

ケイコ、目を澄ませて

ケイコは作中ほとんどしゃべらないので、何を感じ考えているか、彼女の表情や仕草を観ながら想像する。
そんなわけで、岸井ゆきのさんの演技力をただただ堪能。前から割と好きな女優さんだったので、その点は満足。

題名がいいですな。目を澄ませて。普通、慣用句的には耳を澄ませてなのに、何で目なんだっけ?という疑問を持たせられる。こういう題名の付け方、好きです。

ストーリーは、主人公のケイコの戦いの日々が描かれている。地味な画質だからか、大したことしてなさそうに見えるけど、そんなことはなく、毎日戦い抜いていると思う。
ただ、戦いの日々と書いたけど、警官からの職質や肩がぶつかった男とのやり取りなど、耳が聞こえない彼女は戦うことすらできない場面もあり、その理不尽さに腹が立った。と同時に、自分も同じことをしていないか怖くなる。まぁここらへんは、障がいのある方の映画などを観るとよくある感想だと思うけど。

ただ、ケイコは、毎日の練習から逃げたいと思いながらも逃げない。戦っているその姿勢がかっこいい。
毎日付けている日記はシンプルで、その日の練習メニューにその感想が少し。その純朴さに、音読されるあのシーンに、少しうるっと来た。
そんな強い(というと、弟くんのように「私も強くない」とケイコに怒られそうだけど)彼女が、自分の存在がジムにとってマイナスになることを怖れており、通うジムの閉鎖にも向き合えず逃げ腰になる。みたいな流れから、会長たちとのやり取りで再び前を向く。
そして、最後の試合で吼える。ここら辺のストーリーと映像の感じはかっこよかった。

まぁダラダラ書いたんですが。
自分には前評判ほどハマらなかったんですよね。だけど、観る時期によってはおそらくかなりハマる人もいそうだなぁって印象。
ケイコみたいに頑張ってる人に刺さるのかなぁ。
下町的な素朴な感じを表現したかったのか16mmフィルムで撮影したらしく、全体的に暗かったというか青かったんですよね〜。そこも好き嫌い分かれるのかな。自分はあまり…という感じでした。