すごすぎ
ケイコの弟がギターを部屋で録音しているのに対して苛立つケイコの目線や動きや機微が見終わった後で気になった。邪推だが、ケイコが聞くことのできない音楽に熱心な弟の存在はひねくれたものにならざるを得ない。終盤ケイコの日記を会長のワイフが病室で読み上げるときに、ケイコと花とケイコの弟の3人が踊るシーンが（回想なのか）差し込まれる。ケイコの書いた文字が他人によって音声になり、ケイコの弟が作った音楽が花によって身体化される。こんな類比だろうか。読み上げがあんなに過去を引き連れてやってくるのはやっぱり日記の力だろう。ところでろう者にはペンが紙を引っかいている振動は伝わっているのだろうか。
