絶妙に気持ちの悪い引きと寄りのカットのリズムが不穏さを演出（？）してたが、人がアウトレイジばりのアクロバットさで殺され始めてからはかなり安定したサスペンスになる。水木の戦争体験と戦後が「安全な場所にいる勝ち組」に対する憎悪という意味でつながることで、現在もまた戦争の最中にあるという雰囲気があってそれは面白かったが、全体としてそんなに面白くはない。
諸悪の根源たる爺の属性が過剰にステレオタイプなのも面白かった。近親相姦・ペドフィリア・国粋主義者・マッドサイエンティスト。家父長に対する抵抗として犯された娘と、搾取されている妖怪たち（明らかに731部隊の人体実験を引用している）が連帯し、地上の村をめちゃくちゃにする。ゲゲ郎・鬼太郎はめちゃくちゃになった世界にもう一度秩序を取り戻すべく、妖怪たちの成仏して旅をするようになるというポジションとして説明されるが、ゲゲ郎・鬼太郎こそ日本という領土を維持運営するホストだろう。
