織田に不信感を抱く光秀・秀吉・家康が、それぞれの動きのひしめきの中で織田への謀反→光秀の死まで至る流れ。
最後たけしが光秀の首を「光秀を殺したということがわかれば、首なんかどうでもいいのだ」と言って蹴り上げるシーンで終わる。残酷な状況が現れたり残酷な人がいるのではなく、世界そのものが残酷であるということを画面に映し続けてきたたけしからすれば、たけしが演じるべきは織田のように思うがなぜ秀吉なのか。たけしのリアリティは、世界の残酷さをそのまま背負うことではなく、そこから距離をとって世界の残酷さを1人の人間として身に滲みさせる方なのだろう。だからそこには秩序がある。たけしが下駄を投げ捨てるところと最後の首を蹴るところの運動がとても気持ちよかった。
やはり織田と秀吉の間には世界の残酷さというところで共鳴するところがあるが、異なるのは男性同性愛の点だろう。はっきりと男性同士の性交や性愛関係が描かれたのでびっくりしたが、そのゲームからたけし・秀吉は離れたところにいる。織田が光秀の「お慕い申しておりました」で人間らしく振る舞ってしまうのと比較すれば、たけし・秀吉の方がより純粋に世界の残酷さを受け止めているのかもしれない。
