噂には聞いていたが、やっと観る事ができた。
岸井ゆきのの演技観たさだったが、三浦友和が素晴らしい。年齢を経て、いつもの感情を抑えた演技にも、磨きがかかってきたようだ。
何も起こらない。淡々と日々が流れていくが、少しづつ主人公の内面と、ジムの会長の身体が侵食されていく演出が凄かった。
そうなんだ。2020年頃は、コロナ真っ只中だったんだ。
全員がマスクで口元を隠していた時の主人公の苛立ちや、肝心の試合がリモートだった事など、意識下の感情のバランスの崩壊が、観ていて心苦しかった。
それでも、ラスト感情の爆発を抑えて、明日に向かって走り出す主人公に心打たれ、頑張ろうと思える作品に出会えた。
最後に入院しただけで、涙ぐんでくれる後輩が居る会長が羨ましかった。この人とさほど変わらない歳の私には居るのだろうか?と思ってしまった事が悲しい。