つかれぐま

フォレスト・ガンプ/一期一会 4K ニューマスター版のつかれぐまのレビュー・感想・評価

5.0
22/3/23@アップリンク#4

フォレストという男の純愛。
アメリカという国のゆがみ。
両者が絡み合いながら、
羽根のように空に舞う物語。

本作が、感動と生きるヒントを与えてくれる傑作であることは言うまでもない。私は更に「映画の見方」も教わった気がするので、それを書いてみたい。

本作の見方は単純だ。
何も考えずに、フォレストの見聞したことをありのままに受け止め(そこに賛否せず)、あたかも自分がフォレストであるかのように感じる。簡単そうだが、これが意外と難しい。映画を沢山見る人ほど、自分なりの解釈を施す「くせ」がついてしまっているからだ。評論家中心に本作を「プロパガンダ」と見做す連中はその最たるもの。

ちょっと意地悪(でもそこが面白い)なのは、そういう連中が誤読するようなトラップを、わざと挑戦的に仕掛けているところ。例えばワシントンの反戦デモの夜、ブラックパンサー党をいかにも怖そうに映すが、実際に暴力を振るうのは彼らではない。とか、観る人の先入観≒準拠枠で決めつけてはダメだよと教えてくれる。

ロバート・ゼメキスの前作「バックトゥザフューチャー」が、一部の逆張り評論家連中から指摘されたことに対する、渾身のカウンター。決して「白人至上主義」映画などではなく、こんな環境でもレイシズムや拝金主義に毒されなかった純粋な男の話。これほどピュアな映画への「解釈」など百害あって一利なしだ。

「人生はチョコレート箱・・」
有名なこの台詞は、フォレストの母が言った言葉。私はこれよりも、フォレスト自身がジェニーの墓前で言った台詞のほうが好きだ。

I don't know if we each have a destiny, or if we're all just floating around accidental like on a breeze, but I think maybe it's both.
「僕らには皆運命があるのか、それとも風に乗ってたださまよってるのか。たぶんその両方だろう。」

本作と『ショーシャンクの空に』『パルプフィクション』が揃った94年のアカデミー賞は史上最高レベルかな。