Finn

君を想い、バスに乗るのFinnのレビュー・感想・評価

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)
4.2
最愛の妻に先立たれた90歳のトム。病に侵され体調が悪い中、高齢者パスを使って路線バスを乗り継ぎランズエンドを目指すその目的とは?

切なくて悲しくて、でも心が暖かくなる素晴らしいロードムービー。序盤から感じる哀愁とイギリスの風景が見事にマッチして、めちゃくちゃ心に響いた。
なぜトムが旅をするのか、どこに向かっているのか、目的は何なのか…途中途中で挟む過去のシーンと、旅の道中で出会う人との会話の中で少しずつ明かされていく展開も答え合わせのようで良かったです。

SNSのハッシュタグで口コミが広がっていって、後半とラストに繋がっていくのが今っぽい。ぜひエンドロールまで観てください!

ティモシー・スポールが本当に90歳の老人に見える不思議!特殊メイクしてないと聞いて驚き。表情はそんなに豊かじゃないのに、感情を強く伝えるティモシーのお芝居に感服。すごい。

旅の中でトムがいろんな人の優しさに触れるけど、イギリスの人って本当に優しいんだよなぁ。お年寄りや女性に席を譲るとかドア開けて待ってくれるとかは当たり前だし、大荷物で駅の階段登ろうとしてたら、通り過ぎた人がわざわざ戻ってきてみんなが助けてくれたり、私自身も良い思い出しかない。

そしてバスの窓から見る景色!コッツウォルズに住んでた時、毎日40分くらいローカルバスに揺られて職場に通ってたときの情景が頭に浮かんで、この作品の雰囲気も相まってノスタルジーに浸ってました(笑)

静かな作品だけど、トムの想いと周りの優しさに心が揺さぶられる素敵な作品です。
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