Punisher田中

X エックスのPunisher田中のレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
3.8
舞台は1979年、テキサス。
女優のマキシーンと敏腕プロデューサーのウェイン、女優のボビー・リンと俳優のジャクソン、そして自主映画監督の学生RJとその彼女で録音担当のロレイン一行は映画撮影のために借りた田舎の農場へ向かう。
彼らはこれから撮影する「農場の娘たち」でドル箱を狙うため、野心に満ちていた。
そんな彼らを農場で待ち受けたのは老人のハワード。
しかし、そんなハワードと農場から不穏な雰囲気が漂うのだった...

野心と肉欲が交わり、混沌のエクスタシーをキメる怪作。
映画のタイトル「X」をかけた様々なモチーフや構図の数々はとても興味深くて表面的に描かれた欲望と渇きだけでなく、シーンを切り取って調べれば様々な側面を持っていそう。Panisher田中、わくわく!
70年、80年代ホラーの金字塔達のオマージュは勿論あるんだけど、ダチョウ倶楽部がやっているコントの様な王道さ、好きです。押すな押すなと建前を言いつつ、本音は押してってノリで次々と人が死んでいく。
テンポ感もストーリーラインも割とスタンダードな殺人鬼系スリラーで、いつものだからこその安心感。

しかし、今作1番の推しはおそらくテーマである「若さ」。
このテーマの表現がすごくハマっていたからスタンダード過ぎるスリラーシーンには大してムムッとならなったのだと思う。
前半は欲望の表現者達が「若さ」を表現し、後半は欲望の渇望者が「若さ」を得ていく、わかりやすい構成だけど、だからこそ響くものがあった。
最早、セックス映画と言っても過言ではなく、ピンクな作品の核心をついたような言葉や議論は気付きをくれるはず。
主演と殺人者の両方をやり切るミア・ゴスの熱演も相まってすごい熱量が伝わる作品に仕上がっていた。
ハイテンションなラストを是非たのしんでみては!

配給がA24ということもあり、何処か深くにいそうで浅い、でもやっぱり深い味わいの奇妙な作品だったことは間違いない。
スピンオフもあるとのことらしく、今後の活躍にも期待大。