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X エックスのfilmoutのレビュー・感想・評価

X エックス(2022年製作の映画)
3.9
前日のロケ撮影の熱冷めやらぬ間に、その熱を持続すべく見て自分の中に元々ある映画撮影への欲望が湧き上がる。
音声担当としてクルーに参加している少女の現場を見て昂ぶる気持ちとか、RJのカメラを持つこと(視線を向けること)でその内と外が生まれることなど、なんというか思ったよりもアツい。
最近のジョーダン・ピールといい、捏ねくり回してメタ視点が生まれてしまうことってあんまり良いことではないというか安易では?と思うのだけど、ジョン・ウォーターズだって『セシル・B・シネマウォーズ』で若干恥ずかしいオマージュを撮っているし、、、結局グッと来てしまうみたいなところはある。

それにしても取り扱うテーマが20代かよってくらい若いがパラレル的にエロスとタナトスを対比させそれがまさに同じものである事を描いた。名作ホラーへのオマージュはあまりにもタイ・ウエスト的な意味での拙さを感じる。しかし更に言えばそれらはホラーに留まらず劇中でRJの発するフランスの前衛映画まで参照しており、そういうものが混在する中でラストの保安官のセリフで終わらせようとしたタイ・ウエストがマジで微妙にダサい!ただそのダサさが出てしまう気持ち分かる!という感じになっている。(調べてみると同い年だった)
冒頭のカットがあまりに思わせぶりすぎた、つまり明らかにフレームの中に入っていくような演出だったのでまあ最後はそう言って終わるんだろうなとは思うのだが。なんだろうか、着地の巧さより最後ぶん投げてほしかった感はある。

2022.11.19追記
画面が二つに分かれて時間差があるところからカットで合流していくところ、発想は誰でも思いつきそうだが取り扱うテーマとか描くタイミングによって効果的かどうかってのがあるな
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