きゅうげん

X エックスのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

X エックス(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

A24が贈るヒルビリーホラーは、タイ・ウェストによる愛と欲望のエクスプロイテーション映画!
(タイトルの『X』とは、成人映画レーティング:Xからだそうで……)

不穏な交通事故やセーブポイントのガソリンスタンド、不気味な住民に若者のセックスまで、ジャンル要素はぜんぶ合格点。
キラーが後期高齢者のためか、ちょっとアクションもプロットものんびり感がありますが、しかし眼球串刺しとか吹っ飛びショットガンとか、ギョッとするエグ味の勘どころはしっかりおさえてます。
またカットバックが印象的な場面転換芸や、時に笑い時に慄かせる一枚画のパワーなど、映画的なセンスもピカイチ。
そしてミア・ゴスの一人二役も圧巻でしたが、『ウェンズデー』でお馴染みジェナ・オルテガ渾身の叫びたるや。これは新たなスクリーム・クイーンの予感です。

主人公マキシーンと殺人鬼パール婆さんは、ワナビーな精神性で対応関係にあり、アメリカンドリームを夢見るブロンド娘やビデオ時代を見据えるプロデューサー、気負う新鋭脚本家と好奇心が花開くネズミちゃんなど、映画という理想に魅せられた人々というものが、本作のメインテーマであるように思います。
だからこそ被害者も加害者もその顛末にカタルシスが生まれ、ラストの保安官のセリフも味があるものになるんですよね。
続く『Pearl』と『MaXXXine』も日本公開が待ち遠しいです!