1979年 テキサス
いつか世界的に有名になりたいと願うマキシーンは、彼氏でプロデューサーのウェイン、新進気鋭の学生監督RJとその彼女で人見知りでうぶなロレイン、ブロンド女優ボビーリンとベトナム帰還兵俳優ジャクソンらと共に映画撮影のために田舎の農場へと向かう。ポルノで一旗揚げて一攫千金を得るために。
野心ギラギラの彼らは、厳格そうな老夫婦の農場の離れの納屋を借り、ポルノ「農場の娘たち」をこっそり録り始める。
が、マキシーンが見たのは薄汚れた窓の外からこっそり覗いている老婆の姿‥‥
3組のカップルを待っていたのは、スポットライトでも栄光でもなく、恐ろしいレッドカーペットだった‥‥
近年、良質のホラーやサスペンス映画でアカデミー賞ノミネートされまくっているインディペンデント映画製作会社 A24。
ホラー映画がメジャーな立場に成り上がる流れというものは10〜20年に一度ほど起こっていているが、アカデミーまで波があがっているのはA24のおかげとも言える。そんなA24がおくるホラー。それがこれ。「X」。
監督はタイ・ウェスト。(「サクラメント」など)
ホラー製作仲間と共に様々なホラー映画に出演したりオムニバス監督したりと、精力的かつかなり有望なホラー監督です。彼とA24が組むなんてとかなりワクワクしていました。
しかも3部作!! 嬉しいっ!!
さて、感想はというと‥
まず、ホラー映画愛・インディペンデント映画愛にも溢れています。
1970年代、ホラー、テキサス、バンで男女カップルが旅行と言ったらもう「悪魔のいけにえ」でしかないし、その後の模倣作品もありすぎるほどあるのだけれど(どれもワクワクするのだけれど)、今作は同じくトビー・フーパー監督の「悪魔の沼」がそこにがっつり加わり、更にあの映画のあれやその映画のそれやへのオマージュが素敵で楽しすぎて、たまらないです♪
更にはポール・トーマス・アンダーソン監督がポルノ業界を描いた「ブギーナイツ」も。
エロとホラーというのは、別でありつつもかなり近いものだとだし切っても切り離せないのと思っています。
タブーと背徳と欲望と。そういったものが絶妙に繰り広げられる‥‥というのは今までもよくあるパターンなのですが、
今作はそれを踏み石としてさらなる展開へと昇華していく面白さが、まさにインディペンデント映画だなと。安定安心ホラーなんて、こちとら見たくないので(うそ。それも好きだけど‥)、この映画のようなキモエロヤバは大歓迎なのであります♡
そして、シニカルな皮肉さもがっつり組み込まれています。人生や時代や老いに対しての対比や二面性というテーマを様々な方法や角度で表現した今作。それに加えて戦争や変化や繁栄や衰退や‥
三部作の続編(エンドロールで予告が流れます、その予告も70年代ホラーオマージュで素敵)はいったいどんなものがテーマでそれをどう見せてくれるのか、楽しみでしかありませんっ♡
余談。裸にオーバーオールってエロ可愛すぎ♡