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ALIVEHOON アライブフーンのNowLoadingのレビュー・感想・評価

ALIVEHOON アライブフーン(2022年製作の映画)
3.8
 本日の一本。

 日本の映画として「GRAN TURISMO」をやってみる。一人のトップゲーマーがリアルレーシングの世界に殴り込む。

 まず良かった所は架空のゲームではなく本家「グランツーリスモSPORT」の本物のゲーム映像を利用していること。「FORZAMOTORSPORT」とかでもイケたとも思うが主人公大羽紘一の駆るS15シルビアのフロントにバッチシスポンサーしてるあたりちゃんとしっかりとコラボしている。スッと世界観に入りやすい。

 ストーリーもひょんなことからレーサーになって敗北を経験しつつ周囲のサポートもあって一気にのし上がるというスポ根のど定番を抑える。これはストーリーはよくあるもので良い、しっかり観客を映像に集中させるためのものと割り切っている。しかし走ったことのないクルマとコースを一瞬で乗りこなす彼はホントに天才なんだろう。

 何より一番のコダワリは本物のドリフトを間近で体験できることに尽きる。CGなしのドローン撮影も駆使してありとあらゆるカメラアングルから贅沢なドリフトシーンを堪能。なにより「頭文字D」でホントかよと思わせる峠攻めをしっかりと見せつける。芸術的なステアコントロールでワインディングロードを駆け抜ける様は機械的な走りが求められるツーリングレースではお目にかかれない。とことんアナログに拘ってグリグリ動くクルマが観ていて楽しい。

 残念なポイントとしては本作のドリフトレースのD1グランプリのルール説明が一切なかったこと。「グランツーリスモ」がスピードスケートならこっちはフィギュアスケートなんだよというように初めての人にもわかるような説明を3分入れるだけで大分違うのにそこを端折ってしまったのは勿体無い。グランツーリスモはそこら辺が文句のつけようがないほどに完璧な親切設計だった。なにがプラスでなにがマイナスなのかを説明してほしかった。

 惜しい点はあれどそれを凌駕する本物の職人芸が垣間見れるクルマとクルマのデュエットが美しい一本。ストーリーも悪くないし、「グランツーリスモ」とワンセットで見ると良いだろう。あっちは先に、こっちは後に。CGと実車のそれぞれの強みがわかるはずだ。
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