今月6本めの映画を見たが(その割には感想が中途が多い、時間が空いたらそれらも完成させたい)、そのうち2本での斜め前の席に、しょっちゅうよく見てる顔があった。いつもは席は離れてるし、年間千本・情報教え魔の人らとくっついてるので割込むこともないが、スタンダードサイズ上映で私が前寄りに予約を取り、変わらず不動席の、今回はポツン1人だけの彼に、偶然近づいたのだった。「やっぱり、R・ヘイマーのファンですか」とでも言いたかったが、一年千本・何でも観て廻ってる人なら(こっちの何倍も清濁無視で観てるわけだから)、愚問になるので止めた(前回も「やっぱり歌川さんのファンですか」と言いかけたが)。ヘイマーが英国映画史上有数の作家と知らされたのは、もう50数年前になるが、なかなか観る機会がなく、そのうちレンタルVHS時代になり、R・DVDに進み、その内の2本を観れた(DVDの方は、セルオンリー作だから違法レンタルだが)。厳格なスタイルがあるわけではない、しかし、そのキャラ・手口しつこすぎて突き抜けるイーリング・コメディや、今回の様な多種人間模様を掛け合わせを操るというより内から醸し出す空気、その濃さとユニークさは、英国映画史上でもM・パウエルやヒッチコックらと並ぶ最高峰と呼ぶべきか。
おまけに今回の素材は、PALからNTSCへの変換の不具合か、コマの動きがどこかおかしく、画質もイマイチ、だったのだが、その事が作品の性質にマッチした効果?を挙げていたのだ。日曜日らの雨の多いとろける中での、鏡との偶々対峙が巧みに嵌め込まれた図が複数、そして終盤の叩き込むを越えた逃走劇の構図の変貌に次ぐ変貌の力。
角度変も序盤は浅い切返しで敢えてキレを避けて、回想や場面転換でDISを使い、メリハリが弱い(後半になるにつれ、立体と動きとダイナミズムは深さと力を増してく)。只、内円・外円で対象の周囲や内を小さめも廻り、小さめ前後移動も多用される主調、フォロー・パンも併せ、内なる不可思議力を醸し出してる。窓越しや人々詰め込みの縦の構図やも。電車架橋も奥にのびのび自然な存在の通り・街並みの挿入定期も息抜きに。そして、何人・何組もの、血縁・地縁・男女間・ヤバい仕事で繋がる人物・カップルが並行し描かれるが、立つ、向かう、扉を出る、窺う、支度始め、らのタイミングが直接関係なくもカット・シーン切り替え時に不思議に呼応し、無意識動力リズムを生んでる。そのベースが有ればこそ、先に述べた終盤の逃走・追走劇の叩き込みで、都合良くか悪くか、踏切遮断、貨物車乗り込み中・立つアップやそこへの追っ手の顔向け、レールや貨車運行挟まれと走り出し、らのタイミングが荒唐無稽に見えない。そもそも、音響や感情や状況隠蔽危機感が高ぶり張りつめての、心情吐露が実際以上に画面を膨らませたり、(計算含みもある)格闘・暴力や衣類破きや顔の画面占めの瞬間らの、スロー伸ばし粘り感すら生じる行為の敷き詰め感、が前後に行き渡ってきてる。夫婦和解の締めも少しの拍子抜けから、本来以外の相手への張り裂ける思いのあり方まで、個人ベスト英国映画・リーン『逢びき』に似てたりする、模倣というより、互いの高度インスピレーションが引き合ってるだけか(思わぬ感情高ぶりも)。
脱獄囚のニュース、嗅ぎ回る警部と記者、昔の恋人のうちに転がり込む脱獄囚、年上の夫や成人してる前妻の2人の娘・幼い実子への隠し策は妻のイライラを変に高め・元よりの関係歪みを露わにしてく、娘らは対照的堅実と遊び好きだが・2人ともミュージシャンとその兄の怪しい賭けや店を営む男から仕事の声かけられる、その男や脱獄囚ととも知己の三人組・ガメた物の捌き屋に恨みを持ち・後の追跡劇時に殺し・その金を横取り脱獄囚に罪をなすりつける、揺れ膨らむ心の元恋人だが・今の環境は崩せず・更なる逃亡手助けだけに、その家を出び出す瞬間・記者が割込み揉み合い大っぴらに追跡劇に、脱獄囚は捕まり・妻と年上夫のかりそめ心通い合う。カップルには本来の別パートナーが存在し・どの妻やそれに相当する女らは、男の不安定と無知を揺り戻そうとし・弱さ自覚や前向きに変える。
「今も愛してるかも。別れても忘れらないうち、求婚され(混同し)、15歳年上と10年。今は共に行けはしない。全ては遅すぎる」/「恋人で放っては置けず」「君が必要だ」「息子がひとり不安、帰って見てやって」「姉らがみてる」ー脱獄囚の昼間使わぬ(日曜の)自宅寝室隠しハラハラで、元々疎遠家族間に、刺しさ・苛つきや不満が、危なく露わに。しかしそれぞれの狡猾か無知にしか見えないかりそめバランスが、各々が現実を学びもし、僅かに澄んで寄りついてもくるものあり。展開として物わかりが良くはならないが、互いに纏まってくる何か、の得がたい感触。この作にいつしか取り憑かれるを免れる人はいないだろう。話題にもなってない映画だが、ヘイマーと有っては外せない、つまらなくとも収穫らしきは有るに違いない、と信じ観たが、あの高名な最高傑作には届かずも近い・変わらぬレベルなのには驚いた。
今回の特集には、もう1人の生粋英国映画巨人M・パウエルの作もあり、観たかったが仕事と被り通しだった。
直後感
■恋人でほおっては、君が必要、帰ってやって、姉が見てる/謝る、悪い人では、いや姉は悪いと、共に謝る/遅すぎ、カードだけで
浅い変、内外回るやゆっくり前後、入る・出る・支度ら複数人タイミング切り替え合う、それゆえ踏み切降りや貨車立つ・顔向けやアップ見付や挟まり偶然でも、音響やアップ付いてくスロー感伸ばし粘り力ー格闘や顔や衣類倒す
15歳上と結婚10年ー上2人娘は血は繋がらず弟いる、昔の恋人脱獄を忘れられぬ内求婚され、姉は恋人いるが妖しい興業人に声かけ、妹は派手も甘ちゃんでしっかり恋人、姉を揺する弟、ルー、警部、記者、悪3人、安く買取り怨み受け男