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プレイリストのakrutmのレビュー・感想・評価

プレイリスト(2021年製作の映画)
3.9
グラフィック・ノベル(フランス語ではバンド・デシネ=BDと言うらしい)の作家を夢見る女性の日々の生活を、仕事、恋愛、友人関係を中心にユーモラスに描いた、ニーヌ・アンティコ監督のコメディ・ドラマ映画。監督自身が新進気鋭のグラフィック・ノベル作家であり、映画監督としては本作が長編デビュー作。これも昨年のMyFFFで配信された作品である。

ウェイトレスをしている主人公のソフィーは、BD作家という夢に近づくために小さなBD出版社に職を得るが理不尽な理由で首にされてウェイトレスに舞い戻り、いい男も現れなくて恋愛も理想どうりに行かず、友人で女優志望のジュリアとともに愚痴る日々。理想を夢見て迷走するアラサー女子が主人公という点で、先日見たヨアヒム・トリアー監督の『わたしは最悪。』とかなり似ているが、本作が決定的に異なるのは、主人公をはじめとして登場する女性たちがかなり楽観的なところ。ある意味でこの前向きな、軽いノリがリアリティ感を醸し出していて、好感が持てる。こういうところがフランス映画ならでは、というよりは同様のテーマでBDを書いているニーヌ・アンティコ監督の為せる技か。

ソフィーを演じているサラ・フォレスティエの、いかにも冴えない感じがなかなか良い。26歳という設定にはかなり無理があるが、それが冴えない感を醸し出しているのだろう。若い頃の彼女はすごく可愛かったのに。一方、ソフィーの友人ジュリア役のレティシア・ドッシュは脇役ということもあって、いつもよりおとなしめだが、それでも貫禄は十分なのである。
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