真魚八重子

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュの真魚八重子のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ同時多発テロの直後。主人公一家は、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民。そのクルナス一家の長男ムラートが、婚約者の宗教をよく知るために、パキスタンへ旅に出る。しかし“タリバン”と間違われ、キューバのグアンタナモ湾まで連行され、収監されてしまう。

主人公のミセス・クルナスは、お節介焼きおばさん的な雰囲気。息子が全然帰ってこないので、弁護士に助けを求める。事は思ったほど簡単ではなく、「息子がタリバンと接触した」といった情報が出て解放されない。ドイツの中ではたらい回しにされるだけなので、アメリカにも出向くが、やはり埒があかない。
いろんな役職の人に接見して書状を渡して、という行為が続くが、その行為の意味はまず一般人にはわからないことだ。それがおっちょこちょいのクルナスおばさんの振る舞いや言動で、意外に明るい雰囲気で描かれる。でもその後の経過日数が凄くてギョッとする。

想像を超えて、すごく日が経っていく。お嫁さんの宗教を知ろうなんて、甘い話からはあまりに重苦しい悲劇が続く。アメリカ政府の人為的なミスも、普通の会社でもあり得ないようなケアレスミスを平然と起こす。それでまた解放が1年延びたりする。割に合わないお話で意外にどんよりする。チラシの明るいイメージと全然違う。
真魚八重子

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