藍紺

太陽と桃の歌の藍紺のレビュー・感想・評価

太陽と桃の歌(2022年製作の映画)
4.0
スペインの桃農家が直面する廃業の危機。契約書のない土地を明け渡し、ソーラーパネル事業に従事するか否かで、仲の良かった大家族がバラバラになってしまう。

日本でも馬鹿でかい土地を更地にし、ソーラーパネルが設置されているのを良く見かける。こういうのっぴきならない問題が世界中で起こってるんだなあ、と。大資本や効率化が幅を利かせ、第一次産業の縮小は止まらない。実際に手を動かし腰を痛めている人々が儲からないシステムって何なんだ。しっぺ返しは必ずやってくる。でもその時には何もかも手遅れなんだろう。

今作のようなテーマを日本でやったらもっと湿っぽくなると思うのだけど、ソレ家の面々がなんとも魅力的でカラッとしていた。太陽の光降りそそぐ大地に根付く逞しさと明るさ。寄り添いすぎず淡々と家族を捉えるカメラ。表情や仕草からそれぞれの内面がありありと伝わってくる。彼らのほとんどが演技未経験の素人と知ってびっくり。カルラ・シモン監督、他の作品も観たくなった。

作中の歌はスペインでは有名な歌なんだろうか?とても沁みました。
藍紺

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