マインド亀

JUNG_E ジョンイのマインド亀のレビュー・感想・評価

JUNG_E ジョンイ(2022年製作の映画)
2.0
●時間つぶしにタイトで頭を使わなくて良い映画がないかなーと思い探し当てたのがこちらの映画。現在の韓国の映画製作の力を知るには丁度よいSFアクションです。監督が、ヨン・サンホ。「地獄が呼んでいる」「新感染」が良かったのでかなりの期待を持ちながら鑑賞しました。

●世界を席巻する韓国映画もハリウッド並の予算をかけてきているということで、その力を見せつけるには未来世界のSFアクションはぴったり。これからもどんどん作られていくのでしょう。そうなると韓国ではVFXを多用した映画で実力のあるヨン・サンホが適任でしょう。

●しかしながら本作のビジュアルのほとんどは、既視感あふれる「それら」でございました。テーマもAI、義体、脳のクローン、など、士郎正宗やリドリー・スコット、フィリップ・K・ディック作品の韓国風味という感じで、ほぼ目新しいところはないと言っていいと思いました。
「あのロボット」風、「あのサイボーグ」風、「あの宇宙コロニー」風、「あの宇宙移民の独立戦争」風…などなど。そりゃ流石に有象無象のSF作品がある中で絶対に模倣がだめとは言いません。ですが少しでもキラリと光るオリジナリティがなければ、それはただの劣化コピーの盛り合わせだと思います。もしくは夢グループの作ったジェネリック電化製品のような味わい。せめてストーリーやテーマが違う切り口があればいいのですが、核となる部分が「親子愛」みたいなふんわりしたものっていうのもな~。

●あと、近未来SFは未来のあるべき像を少しでも提示すべきだと思うのですが、これだけ宇宙移民が進んでいる世界なのに、住んでる人たちは韓国人しかいないのですか?(日本映画にもよくある問題でもありますが。)いや別に昔からよくある、国内の再現VTR出演外国人俳優を無理やり使え、と言っているわけではありません。しかしながらハリウッドがこれだけ多様性を反映した作品を作り続けている中で、あまりにもあまりにも、という気がしませんか?せめてモブにでも多様な国民がいたほうが良くないですか?未来世界は内向きになっているという設定なんですかね。

●肝心のアクションも既視感ある殴り合い、列車アクションに終わってしまいました。こーゆーのはMCUでどんだけ見てきたか。主演女優二人が割と熟年層なのですが、少しもっさりしてたかも。そういや韓国映画で、バイオレンス描写やカーチェイス以外の肉体派アクション、いいのあまり見たことないなあ。お金がかかってるし、アクションを取る力がないわけではないと思うので、あとはアイデアやアクション技能のアップデートが必要なのかもしれません。

●面白かったところは、突然静止した義体の片目のまぶたがバチバチ開閉する異常静止状態。これはフレッシュだと想いました。あと、ヒロインの戦闘義体をセクサロイド風に自分の部屋でドレスアップしていたアイツ。なんだかんだ言ってあのあとも楽しんだに違いないと思います(笑)

●こうなるとヨン・サンホ、感染列島も少しもっさりしてたし、Netflixの寄生獣ドラマも心配かなあ。呪呪呪は面白そうやけどなあ。ぶつかり合うアクションよりも、追い詰められるアクションの方が得意なのでは?と思いました。
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