えにし

牛久のえにしのレビュー・感想・評価

牛久(2021年製作の映画)
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牛久市に入管があることも、そこに男性しか収容されていないこともこの映画で初めて知った(そもそも牛久という地名も初めて知った)のだけど、知っている人は果たしてどれくらいいるのだろうか。基本的にこの国には難民問題なんてどうでもいいと思っている人がほとんどだと思うし、当時の森法務相と加藤厚労相のあのあまりにも責任感に欠けた国会答弁がその無関心の姿勢を象徴するものであったと思う。
難民を受け入れるフリをしなければ保たれることのない他国との関係があるのならそんな関係断っちまえと思うが、そんな恋人とか友達と縁切るみたいにいかないのが国家の外交なんだってさ〜!それにそんなはりぼての関係があるからこそ、今日本人が享受している生活があるんだってさ〜!脳溶〜けちゃうよ〜!
とふざけたけど、スポーツの祭典に集う外国人が「おもてなし」を受ける裏で難民と認定されもしない難民がいること——の不協和は、見たいものだけ見て見たくないものに蓋をし続けた結果生じた当然の帰結であるし、その功利を第一に考える点だけなら個人と国家は似通っているのかもしれないと考えながら観ていた。
もちろん入管側の視点が描かれていないこと、隠し撮りの映像が多分に使用されていることは批判されるべき点だろう。しかし隠し撮りしなければ入管内部の実態が明るみに出なかった——と考えれば、この映画の意義はそこにあるのではないかと思った。
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