人口減少を先送りしてきた政策や社会に、問題提起をする衝撃作でしたよ。現在僕たちの国は世界トップレベルの少子高齢化で、年金制度の見直しが決定したばかり。決して絵空事ではないんですね。
78歳のヒロインが挫折する、世の中のリアルが細部に宿ってすごい。全ては演者のスキルの高さです。名優倍賞千恵子さんの、何もかも曝け出したノーメイクで挑む女優力。磯村優斗さん川井優実さん若手実力派の、熱量が心地いい。
登場人物の世代や国籍で、生と死への解釈が違う。けど皆思いを語らないから、全ては観客に委ねられている。その余白は、フランス映画のように静かだ。
もちろん人の命は生産性で計れないけど、それを支える若年層も崩壊寸前なのです。僕たちは何を想うのだろうか。
劇場は高齢のお客さんで埋め尽くされていたけど、寅さん世代の高度成長期のアイドル「さくら」が演じる悲劇のヒロインを観て、どんな気持ちで帰路についたのだろう。そちらの方が気になって仕方なかったです🥹
