2018年11月から燃料価格の引き下げ、生活費高騰への不満をもとに始まったデモ「黄色いベスト運動」。
怒りと不満が募り、時に暴力と破壊行為へ激化。そして、警察による武力鎮圧は死傷者を出す事態に到り、現在も続いている。
本作品はデモ現場の記録映像を提示して、デモ参加者、警察関係者、弁護士、学者、心理セラピストら24名が対話を重ねるドキュメンタリー。
以前観た『レ・ミゼラブル』で移民街の警官の暴力とあの対話するラストシーンを思い返した。
流血シーンで凄惨さが伝わってくる。
ゴム弾の威力が顔に穴ぼこが空くほど、失明させるほどのものであること。
また、手榴弾も使われているのが驚きだった。それは手が吹き飛ぶよ。
マックス・ウェーバーの『暴力の独占』とか小難しい話で、とても正当化できるものではないよ。
社会運動ってある目的に対して行われるけど、集合体が大きいほど、人それぞれに目的の基準が違うから、どこで折り合いをつけるかが難しいと思う。
政府が要求に応じて、提案があっても、それを呑み込めるかどうかも人それぞれで尺度が違うから。
その目的の違いが鮮明になったところで、分裂したり、フラストレーションが溜まって、過激化したり、時に暴力化したりする。
結局、本来の目的とズレてしまう懸念がある。
「黄色いベスト運動」やマクロン大統領の支持率低下はちょくちょくニュースで聞く程度で、詳しく知らなかったので今回観れて貴重だった。
ドキュメンタリー映画としても、見応えあって十分面白かった。
歴史を振り返ったら、マクロンはサルコジより評判の悪い大統領になりそうだな。