暴力をめぐる対話の作品情報・感想・評価

暴力をめぐる対話2020年製作の映画)

Un pays qui se tient sage/The Monopoly of Violence

上映日:2022年09月24日

製作国:

上映時間:86分

『暴力をめぐる対話』に投稿された感想・評価

『レ・ミゼラブル』あっちじゃない方、『アテナ』と観てきて、やっぱこのドキュメンタリーを観れた事でまだまだフランスって知らない事が多いなと思いました。
花椒

花椒の感想・評価

4.5
原題はわからないが、英題の直訳だと暴力の独占
この邦題はイマイチわからない

ユーロスペースでの上映時は間に合わなかったので川越スカラ座にて(既に上映終了)

フランスの社会問題や政治にあまり詳しくないので情報量が多すぎて頭の中で整理ができなかった。再度観る際には購入したパンフレットを熟読してからで臨むべきかと

スマホの誕生によりメディアに頼らず、自己発信で報道が可能になったのは大きな変化なのは確か。
ただ一般市民になりすましたインフルエンサーが政府広報の働きをしたり(日本だとdappi騒動も)、フェイクニュースも然りで、受け取る側のリテラシーを更に問われる事態になっているかと

警察や一部公務員は国家の治安を守る為には暴力をふるってもかまわない、ということに大半の国はなっている。(国民の命や安全を確保する為ではなく)
じゃあ、国民はどう対抗すれば?

それを考えさせられる作品。個人的に今年のドキュメンタリーで上位にくる

あらすじより
〈フランス政府への抗議活動「黄色いベスト運動」に対する武力行使の記録映像から、人間や国家が抱えるジレンマを追究したドキュメンタリー。

2018年に地方都市から瞬く間にフランス全土へ拡がり、政権に抗議を続ける「黄色いベスト運動」。燃料価格や生活費高騰による社会的不平等への怒りが高まるにつれて抗議は激しさを増し、2019年3月16日にはパリで200人以上の参加者が警察に拘束された。ダビッド・デュフレーヌ監督は、警官による暴力行為を市民がSNS上に投稿する「Allo Place Beauvau」をWEB上で管理する中で、多くのデモが抑圧の対象となっていることや、武力鎮圧の増大を目の当たりにする。デュフレーヌ監督は民主主義国家の存続をかけた重要な問題に対し、負傷した市民や警察関係組織、弁護士、社会学者、心理セラピストら24人にデモの記録映像を提示して対話を促し、「正義」と呼ばれる「暴力」の原因と結果について考察していく。〉
今までは政府の一方的な情報統制が可能であったが、今は違う。
スマートフォンの普及で誰でも世界に向けて情報発信が可能となった。

正当な暴力が法によって付与された場合、人はヒトになる。
フランス発のドキュメンタリー作品。
確かにタイトルの通り、流されている映像に距離を置きながら、左派右派の何名もの識者が"ソレ"を巡る対話の話。

「黄色いベスト運動」は荻上チキsessionで何となく耳にした事はありますが、実際の映像を見ると公権力の抑圧・暴力が酷く感じました。
ただこの作品がフェアだなと思うのが、リベラル側も熱くなることなく分析して、保守派の人にも言い分があるように(見える)描いてる事です。

改めて"分断"を生まないためには、"対話"が必要でラディカルではいけないなと思わされました。

また途中の分析で「このような事は昔からあったんだ。スマホの出現で日の目に晒されただけだ。」という発言は胸がザワツキましたし、マクロンも日本もトップはダメだなと感じました。
フランスで起こった黄色いベスト運動においての警官隊と市民デモの衝突、そこで行われた暴力行為について当事者・関係者・学者などが議論を交わすドキュメンタリー映画。
ドキュメンタリーとしてみるとやや不親切なつくりではあって、問題の背景はほとんど説明されずこれを見ただけではデモに至るまでの複雑な事情や実際に起こったことは理解できるようにはなっていない。また議論を行う登場人物たちのプロフィールは映画の一番最後に開示される形式になっており、本編を見ている間は各人がどのような立場から発言をしているのかがわかりにくい。もちろん発言の内容からどのような人なのか推察できるようにはなっているのでそれを考えさせる意図もあったのかもしれない。
この映画では実際のデモで行われた暴力の映像をみてそれについてそれぞれが意見を述べるという形式になっているが編集の問題もありその議論がどうにも断片的で本当の意味では対話になっていない印象を受けた。
この映画が投げかける問題意識は心情的には非常によく理解できる。しかし国家による暴力の独占については長い歴史的な経緯と議論の積み重ねがありそれでも明快な結論を出すのは難しい。その中でこの映画は議論の内容や方法の選択の点で物足りなさを感じたのは事実である。
 催涙弾の音、煙、叫び声や泣き声……終始緊迫した場面が続くフランスのドキュメンタリー。2018年に始まった市民デモ、黄色いベスト運動と警察との攻防の模様を紹介しつつ、デモ参加者、学者、警察側関係者(ほとんど断られたと)が、それぞれの立場で暴力と正義、民主主義などについて討論する映画。正直、このデモがこれほど苛烈で、また、それを抑え込む警察の所業がさらに強硬であったことを知り、驚いた。ある場所では、デモ参加者ではない一般市民を、ただ現場にいただけだからというだけで暴力的に制圧したり、郊外の(たぶん移民が多い)団地地域の高校生たちの集団をまるで囚人か捕虜のように扱ったり。。。「懲治」という言葉、使ったことなかったけれど初めて知りました。
 討論の場面は、一部の識者たちの話がフランス的に(?)難しくてちょっとうとうとするが、比較的わかりやすく、一応警察側の話も入れているのはフェアだと思った。日本ではこれほどのデモは長らくないわけだけど、いまだに何かあると団結する韓国の方はどう見るだろう。また、国は違うが、黒人だというだけで、デモも暴行もしていない一般市民を平気で殺すアメリカの警察の怖さを思い知った。
 最後に入っていた監督の、日本の観客へのメッセージ、とてもよいと思った。音楽も強調もない真摯な作りだけに、正直とっつきにくく、上映館も少なく観に行くのが大変だから。しかし、映画館で観てこその緊張感で、観に行ってよかった。

K2は初めてで、椅子も音響も良かったけれど、入り口が、わかりにくく、ちょっと戸惑いました。
na

naの感想・評価

4.0
原題「Un pays qui se tient sage」
訳「おりこうさんの国」
スマホが台頭して以後のドキュメンタリーとして非常に正しい作り。政府側もデモ側も含め、暴力を行使しているということは明白で、それは分かった上での正当性や人道的な問題へと議論は進む。善悪は見ている側に委ねるものの、とにかく現状が狂っているという事実は突きつけられる。すごく面白かったです。プーチンとマクロンの茶番にしか見えない会談の薄ぺっらさに笑ってしまった。
TJ

TJの感想・評価

4.1
警察対市民の善悪の話じゃなくてよかった
民主主義政府は国民に奉仕するために存在するはず
民主主義の機能としての暴力が市民に向けられたときそれは民主主義たり得るのか?
フランスの文化としてカジュアルにデモが行われるのすごいなぁ

沖縄で警官に目を潰されてしまった少年の仲間が警察に殴り込んでたのは本質的に民主主義なのかも全然話違うけど
暴力による対話の件を暴力をめぐる対話に昇華した作品。酒井隆史著、暴力の哲学(河出書房)のp39〜p40のキングの言葉が本作とリンクするなど。
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