ちろる

透明人間のちろるのレビュー・感想・評価

透明人間(1933年製作の映画)
3.7
H.G.ウェルズのSF小説「透明人間」から着想を得た作品。
1930年代のホラーとして、フランケンシュタインの怪物、ドラキュラと並ぶ存在として認知された存在ではあるが、この透明人間に関してはあくまでも特殊な薬を飲んでしまった「人間」である。
研究を重ねていくにあたり、急遽な段階に手を出して透明になる薬を開発するものの、戻る事ができなくなってしまい苦悩する科学者ジャックにはじめこそ少し同情するものの、秘密が明るみになった途端に、狂ったように笑い、暴れ回る姿は狂人(といっても見えないのでほぼポルターガイスト)
フランケンシュタインの怪物やドラキュラと違い、見た目は全く見えないものの、正真正銘の人間あったはずのジャックこそモンスターそのもの。
狂気の虜となり警察を簡単に絞め殺すその姿を見ると、最強の武器を持ち倫理観を捨てた人間がこの地球上でなによりも危険なんだという事が分かる。
怖い!というよりはシニカルなコメディのような仕上がりなのですが、ジャックが包帯を取り、透明人間になる瞬間や、部屋の物語飛び回るようなシーンなど、とにかくこの時代によくもここまで手の込んだ特撮をしたなぁーと感心するシーンが盛り沢山。
個人的には雪の中で警察がジャックを追い詰めるシーンがお見事で気に入ってます。
ストーリー事態に深く考えさせられるという感じではなく、登場人物にも共感できなかったけれど、映像の凄さを確認するためだけでも観る価値はある作品ではないかなと思います。
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