れーちゃん

ドント・ウォーリー・ダーリンのれーちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

とある企業の「Victory計画」というプロジェクトに参画する夫ジャック(ハリー・スタイルズ)とその妻アリス(フローレンス・ピュー)。
近所にも同じ企業に勤める夫を持つ妻や子供たちが暮らしており、毎朝夫を見送ると妻たちは家事をこなしショッピングを楽しみ、夜は夫と楽しく過ごすか近所の友人たちとパーティするなど、その地域に住む人々は豊かで楽しい暮らしをしていた。たった一つ「Victoryプロジェクトのある本部には近づかない」というルールさえ守れれば。。

アリスもジャックとの幸せすぎる日々を送っていたが、どこかで聞いたことのある曲が頭から離れなくなったり、時折謎の映像が脳裏に浮かんだりする不可解な現象に悩まされていた。

ある日、近隣に住む主婦友達が急におかしなものを見たと騒ぎ立てる。彼女を追いかけていったアリスは彼女が自殺する瞬間に出くわすが、赤い服を着たセキュリティたちが一斉にやってきて彼女を連行しどこかへ消え去っていった。
アリスはVictory計画の創設者フランク(クリス・パイン) を疑い始め、"たった一つのルール" を破る行動に出る。。

何を言ってもネタバレになってしまいそうなのでネタバレレビューで投稿する。

Victoryプロジェクトとは『マトリックス』と同様の世界だった。
生活に困った男性が、妻やパートナーの意識を奪い、装置を取り付けることで永遠の仮想空間に入ることができる仕組みである。
仮想空間で「行ってらっしゃい」と妻に見送られた夫たちは、それぞれ会社で本部へ向かう。

セキュリティの赤い男たちは「エージェント・スミス」的な役割であり、妻や子供たちが近づいてはいけない本部=「装置の電源」なのだ。
毎朝電源へと向かう夫たちはこの仮想空間と引き換えに現実世界でなんらかの"仕事"をさせられているはずだ。
帰宅した夫たちはまた装置を取り付け、仮想空間に入る。そこには "おかえり" と待っている妻がいる。。

珍しく同性愛者も出てこない作品であったことから「女性が男性から受けている抑圧」がテーマにあるように感じた。

Victoryプロジェクト内では奉仕する女以外、女性は誰1人として働いていない。女たるもの家事と子育てだけをしのびのびしていることが幸せだという先入観や、夫が妻へ一方的に行う性行為など、「男性の思う幸せな女性像」を反映した空間なのである。

ラストのシーンでは、そんな仮想空間を知っていながらもあえてここでの生活を選んだバニーは、現実世界で子供に恵まれなかったか、失ったか、なにか辛いことがありこの世界に逃げ込んだようだったが、それ以外の妻たちは皆それぞれのパートナーに抑圧されていることに気がついたような表情を浮かべていた。

世界観といい、最後までイマイチこの世界は一体なんなのかが分からなかったが、飽きずに最後まで観れた。
フローレンス・ピューは『ミッド・サマー』でも走って何かを暴こうと必死になる姿が印象的だったが、本作でも全く同じような感じで笑った。

彼女にはこれからもたくさんの不思議な世界を暴いてほしい。
れーちゃん

れーちゃん