萩原くわがた

胸騒ぎの萩原くわがたのレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
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今の判断ってこれでよかったのかな?今の言葉って正解だったかな?と日常的に不安になる人ほど刺さる映画なのかもしれない。この映画は10分ごとくらいに後悔が来て胃がキリキリする。楽しい。

最近知り合った人と初めて遊ぶ。それも家族ぐるみで泊まりがけで。当然なんとなく漠然とした不安が付きまとう。でも多分楽しい週末になるだろう、多分…。👈こんな感じの微苦痛シチュの波状攻撃がいやらしい。

舞台装置や主人公の性格はめっちゃ共感できるポピュラーなので、それが理由で生まれる問題にも『うわ〜このシチュエーション苦手だわ〜』と共感できる。
そして物語が進むごとにその累積された若干嫌な感覚が凶器となってこちらの精神へ降り注ぐ展開が本当に辛い。
世間一般的に言われる胸糞映画というと最後に主人公や大切な人が死んだり罪の無いものが泣き悪が笑う展開なんだけど、脈略や説得力がないとただ「画面の中の登場人物が死んだ」にしかならないだろうけど、本作はしっかりこちらに接続してくる。胸糞職人映画。

主人公の中年男性は決して哀れでも弱者でも愚かでもない。社会性と行動力と優しさを人並みに持った限りなく等身大の一般人だからこそ本作は魅力的。表情がほんと良い。
展開の緩急も割としっかりつけられてて楽しさや気持ちよさを感じるシーンも割と(割とね)あり、故に本当に描きたいものの威力が上がる。

人生は判断の連続。「後悔するかもしれないけど、やるしかない」の連続。選択を間違えることの連続。でもそれを何度も繰り返すうちに冷静さを欠き、次の判断が怖くなる。胸騒ぎの連続。