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胸騒ぎの消費者のレビュー・感想・評価

胸騒ぎ(2022年製作の映画)
4.3
・ジャンル
サイコホラー/スリラー/サスペンス

・あらすじ
デンマーク人のビャアンと妻ルイーセ、娘アウネスの3人は夏の休暇中に旅先のイタリアでオランダ人の一家と出会う
人当たりが良く親切な彼らは帰国後しばらくするとビャアン達一家を自宅へと招待
ルイーセは週末を他人の家で過ごす事に少々難色を示していたが結局彼らは行ってみる事に
しかし到着して間も無い段階から些細な違和感が募っていく
そしてある出来事に痺れを切らしたルイーセの意向で一度は帰ろうとするのだが謝罪を受けて結局そのまま残る事に…
だがやはり彼らへの違和感は拭えず積み重なっていき、とうとうビャアンは一家の恐ろしい秘密を知り…

・感想
旅先で出会った夫妻と息子の邪悪な“おもてなし”を描いたサイコホラー/スリラー作品
日本では今年放映の話題作で胸糞や鬱系っぽかったので気になり鑑賞

北欧ホラー色を感じさせる不穏な空気感
後に真相が分かってくるとジワジワと効いてくる伏線
露骨な描写を終盤までは避けているからこその重たさ
それらが絶妙に絡み合った構成が評判通りに胸糞で陰惨な結末を更にキツい余韻を残す物にしていて良い意味で厭だった
みなまで言わないからこその閉塞感とクライマックスの暴力が生み出す邪悪なカタルシスはなかなかに味わい深い

<ここからはネタバレ有り>
オランダ人夫妻パトリックとカリンは異国で子のいる家族に取り入っては招き、子供の下を切る事で言葉を封じる
そしてその子は性的虐待の標的となり、“ベビーシッター”とされていた移民のムハジドを介して児童売春にも利用している
夜毎、漏れ聞こえる呻き声はその性的虐待による物だろう
息子とされていたアーベルも当然被害者だが前半の大口を開けるシーンは助けを求めての行動
鈍っていたハサミは舌を切り続けていたから
そういった細かな伏線の意味が静かに押し寄せてくる終盤はとにかくおぞましい
奪った子供を利用して信用させ犯行を続けているのもあまりに悪質で凄まじかった
異国において余所者同士というのは距離が近付きやすいだろうし手口がとにかく巧妙過ぎて…
探そうにも手掛かりは周囲の人々にも得難いし…
もしかするとルイーセが食べさせられた肉も…?など不穏な疑問も残るのがまたね…
勿論、単純に主導権を握る為の初手とも考えられるのだけども

唯一違和感があったのはビャアンとルイーセの殺害方法
人気の少ない田舎町と言えど緻密に処理をしているとは思えないやり方だったのが惜しい
殺す際に手で触れなかったのは妙な生々しさがあって良かったけど

そういった若干の違和感はありつつも基本的には良作
胸糞系や北欧ホラーが好きな人には刺さると思う
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