ぶみ

ビリーバーズのぶみのレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
4.0
汚れた俗世よ、さようなら。

山本直樹が上梓した同名漫画を、城定秀夫監督、脚本、磯村勇斗、北村優衣、宇野祥平等の共演により映像化したドラマ。
宗教団体「ニコニコ人生センター」に所属する男女三人が、「孤島のプログラム」を実行するため、無人島で生活する姿を描く。
原作は未読。
オペレーター、議長、副議長と呼び合う三人を、それぞれ磯村、宇野、北村が演じており、途中部外者が入ったり、終盤他の信者が登場したりものの、基本登場人物はこの三人であり、舞台もほぼ無人島であることから、ワンシチュエーションものと言っても過言ではない。
物語は、本部から送られてくる不可解な指令と、少しの食糧により生活する三人が描かれ、客観的に見ると奇妙な行動ばかりなのだが、やっている三人は至って真面目であるが故の面白さが込み上げてくる。
そして、何より中盤から一つタガが外れてからの展開は、堰を切ったかのように皆が欲望の渦にまみれることとなり、北村と磯村の、まさに体を張った演技や、もっともらしいことを言いながら、要求していることは欲望でしかない宇野の怪演は、ピンク映画を数多く撮ってきた城定監督の真骨頂。
特に、先日観た早川千絵監督『PLAN 75』で、公務員役を抑えた演技で好演していた磯村の、本作品とのギャップは凄まじいものであるとともに、北村の潔い脱ぎっぷりには脱帽であり、後半に至っては服を着ていないのがデフォルトとなってくるため、少々のことがあっても驚かないことに。
そして、迎えたラストは、原作者自ら登場した上で、中々のカオスっぷりとなっており、新興宗教の不気味さを感じさせてくれる仕上がりとなっている。
信じるものは救われるとは、よく言ったもので、何かを信じることで幸せと感じるのならば、家族や人に迷惑をかけたり、危害を加えなければ、何をしようと自由であり、そうしたことによる一つの結末を監督と手腕と俳優陣の演技力で、生々しく、かつ力強く描き切ると同時に、特に男性陣は北村の姿がしばらく頭から離れないであろう怪作。

ボンゴレというより焼うどんですね。
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