ぶみ

ゴジラxコング 新たなる帝国のぶみのレビュー・感想・評価

1.5
世界は今、目撃する。

アダム・ウィンガード監督、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー等の共演によるアクションで、ワーナー・ブラザーズとレジェンダリー・ピクチャーズが手がける「モンスターバース」シリーズの第五弾。
地上と地下、それぞれの世界に住むゴジラとコングが、新たな敵と対峙する姿を描く。
本シリーズについては、同監督による前作『ゴジラvsコング』のみ鑑賞済み。
主人公となる怪獣研究機関の人類言語学者アイリーンをホール、アイリーンとともに調査をする陰謀論者バーニーをヘンリー、獣医トラッパーをダン・スティーヴンスが演じているほか、前作から引き続きカイリー・ホットルが登場。
物語は、冒頭に書いたように、それぞれのテリトリーで暮らすゴジラとコングが新たな脅威と対峙する様が描かれるのだが、登場シーンの大半を占めるのはコングであるため、私のように特に思い入れがない場合は良いが、ゴジラファンからすると偏りすぎかなという印象を持つのではと想像されるもの。
その物語自体も正直な取ってつけたような内容で先住民とのエピソードに結構な時間を割く必要だったかどうかと言えば甚だ疑問。
まあ、そこはさておき、肝心の怪獣プロレスとも形容される怪獣たちのバトルシーンは健在であるのだが、オランウータンに似て鞭を振り回すスカーキングに至っては、もはやプロレスではなく、ヤンキーの喧嘩であり、一体これは何を見せられているのだろうという気分に。
そして、前作からさらに輪をかけて殆どのシーンがフルCGではと思わせる映像については、ゴリゴリのCGを苦手とする私としては、映画ではなく出来の良いゲーム映像を眺めているような気分となってしまったのが正直なところであると同時に、何より、怪獣たちの重量感が表現されていなかったのは些か残念であり、そう考えると山崎貴監督『ゴジラ-1.0』の映像クオリティの高さにあらためて気づかされた次第。
また、前作ではあまり気にならなかったのだが、怪獣たちのバトルシーンでは、当然台詞はなく、ゴジラやコングの咆哮しか聞こえてこないため、大音響の中、そこはかとない物足りなさとアンバランスさを感じてしまったのは私だけか。
前述のように、重量感に加えメリハリや奥行きのないゴリゴリのCG映像を大スクリーンで見せられたところで、何も響くところはなく、睡魔との闘いが中心となってしまったとともに、チケット窓口で「ゴジラ対(たい)コング」と伝えたら、「ゴジラ、コングですね」と言われ、「対(たい)」がないことと、タイトルをよく見たら「vs」ではなく「x」であることを知り、恥ずかしくなった一作。

何かが呼んでる。
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