もっと陰惨な展開も覚悟していたが、ほどほどに嫌ーな感じだった。少し似たストーリーの作品としてシュヴァンクマイエルの『オテサーネク』を思い出すが、あちらのほうが展開はエグいかな。
毒親の歪んだ愛情を一身に受け止めるティンヤから溢れる負の感情を一身に受け止める怪物。負の感情もまた彼女のかけがえのない一部で、ないことにしたり隠して表面を取り繕ってはいけない、という寓意。このへんは『怪物はささやく』などと共通点がある。
ラストシーンが今どきのホラーらしくてとても良かった。「負のもの」は見たくない、ないものにしたい指向の母親と、駄目なところも含めて認めてほしかったティンヤのズレが最悪(?)の結果に収斂する美しいラストであった。