ユウト

大いなる自由のユウトのレビュー・感想・評価

大いなる自由(2021年製作の映画)
3.0
Bunkamuraル・シネマの編成担当が
「見過ごされてはならない映画」
として自社買付・初の全国配給を決めた2021年カンヌある視点部門審査員賞受賞作。
ボカシなくゲイのポルノグラファーを見せたのも配給会社の信念なのだろうか。
(そ、そこまで見せなくても。
見せなくてはならない意味が、そこまであるのだろうか。)

江戸時代まで男色文化が盛んだった日本は、同性愛に対して法律による排除はなく、現代も歌舞伎文化が続き芸能界はゲイによる性搾取もあるので、
本作の苦悩をドイツの出来事(刑法175条)としか見られなかった。

アラン・パーカーの刑務所映画やジャン・ジュネ、昭和時代に観た世界の実験映画の中にハードゲイのレザー物があったりしたのをボンヤリ思い出す。
趣味嗜好は個人のもので、欲求もあくまでも個人のもの。
法がある以上は仕方ない。
個人の趣味嗜好とて刑事罰は免れない。
本作主人公の欲や愛はわかるが、刑務所の中でも彼なりの自由はあった。
彼の住まいは刑務所が最適だという極論もありうる。
(聖書に穴を開けて伝えるラブレターのエピソードは驚いた。
ロマンティストである。
神様も赦してくださるでしょう。
なぜチラシにポツンと小さな穴が開いていたのか理解しました。)

物語が20年の月日を描きながら主役の俳優さんの外見があまり変わらないのは、なぜだ。
もともと若かった時は老けていて、年を取ったら幼くなったのか。
刑務所にいたら心労で老けるのではないか。
そんな心配はいらないのか。
そうなるとゲイのポルノグラファーを撮りたかっただけ、と見られても仕方がない。
ユウト

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