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大いなる自由のmiumiuのレビュー・感想・評価

大いなる自由(2021年製作の映画)
4.1
同性愛が違法とされ、刑法で取り締まられていた頃のドイツが舞台。
性的嗜好を理由に何度も逮捕され投獄されるハンスと、獄中でハンスと出会った殺人犯ヴィクトールを描くストーリー。

実際に刑務所で撮影されたらしく、閉塞感が何ともリアル。
もともとストレートのヴィクトールが同性愛者のハンスを嫌悪し同房になることを嫌がったあたりは、当時の(そして人によっては今でも続く)価値観を反映しているんだろうな…
ハンスがかつてはナチスの収容所(※ナチスは同性愛者も粛清していた)にいて、そこから刑務所送りになったことを知り、ヴィクトールの態度が変化。
最初は同情から始まりつつ、2人の間に長く続く奇妙な友情が生まれる。

生まれながらのもので変えようのない性的嗜好が罪とされるのはやはり辛くて切ないよな…
と思いつつ、投獄されてまで恋愛しようとするかな…? とは思ってしまった。
でもハンスの恋愛やその悲しい結末がドラマ性と感動を増しているのは確か。
事前にいくつか感想を読んで、時間軸が行ったり来たりするのを知っていたから混乱なく観られた。
知らないとちょっと戸惑うかも。

タイトルにもなっている「大いなる自由」というフレーズ、そこで出てくるのか…!
同性愛自体が犯罪とされない国が増えたとは言え、真に自由に生きられるとは言えない。
自由と言いつつその本質は空っぽな世界に生きるのか?
それとも、自分のことを愛し尊重してくれる人の傍で生きるのか?
ハンスの最後の決断には考えさせられ、かつ空しさとやるせなさも感じた。
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