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オリエント急行殺人事件のnetfilmsのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(1974年製作の映画)
3.7
 トルコの首都イスタンブール、アジアとヨーロッパを結ぶ豪華な大陸横断国際列車オリエント急行パリ経由カレー行き。今日もさまざまな乗客を乗せて発車しようとしていた。事件を解決したベルギー人の有名な探偵エルキュール・ポワロ(アルバート・フィニー)も乗客の一人で、ロンドンへの帰途につくところだった。真冬だというのに珍しくオリエント急行の一等寝台車は満員で、偶然出会った古い友人で鉄道会社の重役であるビアンキ(マーティン・バルサム)の取りはからいで、ポワロはようやくコンパートメントの一室で落ちつくことが出来た。やがて列車は、動き出し、三日間の旅が始まった。二日目の深夜、列車は突然スピードをおとした。前夜から降り続いていた雪で線路が埋まり、立往生してしまったのだ。ポワロは周囲の静寂で眼をさました。隣室で人が呻く声を聞いたような気がしたのだ。同時に車掌を呼ぶベルが鋭く廊下に響いた。オリエント急行は雪の中に立往生したまま朝を迎えた。そしてポワロの隣りのコンパートメントにいたアメリカ人の億万長者ラチェット(リチャード・ウィドマーク)が、刃物で身体中を刺されて死んでいるのを執事のベドース(ジョン・ギールグッド)とポワロが発見した。コンパートメントに残された燃えかすの手紙には、五年前に起きたアームストロング誘拐事件に関連する文面が発見された。

 アガサ・クリスティの1934年の推理小説『オリエント急行の殺人』を原作とする物語は、名探偵エルキュール・ポアロが偶然乗り合わせた列車の中で事件は起こる。早速、国籍も身分も異なる同じ一等寝台の車掌と十二人の乗客たちの尋問が始まる。まずはラチェットの秘書ヘクター・マックイーン(アンソニー・パーキンス)、さらにこの車輌の車掌のピエール・ミシェル(ジャン=ピエール・カッセル)、エドワード・ベドウズ、ハリエット・ベリンダ・ハッバード夫人(ローレン・バコール)、英語教師グレタ・オルソン(イングリッド・バーグマン)、ハンガリーの外交官ルドルフ・アンドレニイ伯爵(マイケル・ヨーク)とその夫人エレナ(ャクリーン・ビセット)、ナタリア・ドラゴミノフ公爵夫人(ウェンディ・ヒラー)とその召使ヒルデガード・シュミット(レイチェル・ロバーツ)、英国軍人アーバスノット大佐(ショーン・コネリー)、メアリー・デベナム(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)、車のセールスマンで陽気なイタリア人のジーノ・フォスカレッリ(デニス・クイリー)、私立探偵と名のるサイラス・“ディック”・ハードマン(コリン・ブレイクリー)の順だった。曰くありげな数々の脅迫状、直前に被害者がポワロに懇願したある仕事、頭文字Hのスカーフ、化粧バッグに忍ばせた短剣などの幾つもの道具立て。そしてボタンの取れた衣装と1時15分のトリック、ポワロが下す最後の決断の妙が余韻を残す。
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