いや～普通に面白かったし、アニメ版を思い出しながら懐かしく観た。原作は1980年代のバブル期へと向かう新宿歌舞伎町の猥雑さが余すところなく描かれていたし、今振り返ればあまりにもハードボイルド色が強めで、少年ジャンプの年齢層には不似合いだったかもしれない。然しながら1980年代の世界線がしっかりと21世紀仕様令和仕様になっていても何ら違和感がない。心なしか冴羽獠を演じた鈴木亮平さんも様になっていると感じた。声もしっかり神谷明さんに似せて来る辺りは流石だと思う。朝ドラとは別の形で登場の森田望智さんも一瞬誰かわからず戸惑ったものの、槇村香に見事に寄せていた。バブルの絶頂期から失われた30年を経て、今の新宿歌舞伎町はあの頃の新宿歌舞伎町の猥雑さとはすっかり変わってしまった。その辺りの時代の変遷をトーヨコキッズやコスプレイヤー、そしてウーバー配達員など令和的なワードを散りばめながら、冴羽獠は失った相棒の為に、そして香は義理の兄の為に復讐心を燃やす。かなりベタでハードボイルドな物語だが、今のスッキリしない複雑なプロットの物語よりはよっぽどこちらの方が勝負できる。後半のアクションのつながりも鈴木亮平さんの身体能力は流石の一言で、『GET WILD』だけは歌い直したのだろうが、宇都宮隆の声量が衰えたのは否めないがこれもまた当時を懐かしむ上での宿命だろう。シナリオ協力には佐向大の名前があり、気になった。
