滝井椎野

NOPE/ノープの滝井椎野のネタバレレビュー・内容・結末

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

これは傑作。最低最悪の『未知との遭遇』とはよく言ったもので、コミュニケーションが重要なテーマとして描かれている『未知との遭遇』に対し、本作『ノープ』で描かれるのは捕食者と被食者の関係のみ。その間に生物的な絆や交流といったものは皆無であり、それ故に途中までの不可解さや、終盤のスリリングな展開が映える。
最後、絶対的捕食者であるGジャンに対してOJとエムが一矢を報いる様は、何とも痛快だった。

OJの馬たち、チンパンジーのゴーディ、Gジャン……本作のテーマとして人と動物の関係性があるが、その中でも印象的に描かれているのがゴーディだろう。これが実に怖い。しかしそれだけでなく、全編通して小出しにされていく話をみると、また印象が変わってくる。
見世物にされ、最後は暴走するゴーディ。そんなゴーディに執着をみせるジュープ。惨劇の中でジュープだけが襲われずにグータッチを求められる辺り、ゴーディも絆を感じていたのだろうか。
たまたま目が合わなかったから襲われなかったのか。本編中、目を合わせる合わせないが執拗に取り沙汰されていることからは後者が濃厚ではあるが、どちらにせよ同じく見世物にしようとした結果、悲劇的な結末を迎えたGジャンとジュープの関係と対比になっているのが面白い。

本作、アキラバイクやエヴァの使徒等と、日本人ならニヤリとさせられるような要素がいくつかある。そんな中でも、白石監督の『オカルトの森へようこそ』との類似点が実に面白い。もっとも、これが意図してのものかどうかで言われると恐らくはNOPEであろうが……。
お互いの作品のネタバレになるためあまり語れないが、こうまで似通った箇所があると、ジョーダン・ピール=白石晃士監督説や、同時期に宇宙からの交信を受け取った説を個人的には推していきたい。
滝井椎野

滝井椎野