街中でカラスの雛を見つめてしまったせいで親鳥に頭上から襲われた時のような、嵐山モンキーパークでニホンザルと目が合ってブチ切れられた時のような、そんな恐怖を地獄の絶叫マシンに乗っているかの如く味合わせてくれる最高のホラー映画。
ホラー映画やアクション映画の面白みの一要素として、強大で一見コントロール不可能な何かをいかに登場人物がコントロールできるか、というものがあると思うが、本作もまさしくコントロール不可能な超デカい何かを力では劣る人間が知力でもってコントロールしようとする、という話になっている。
ただし、本作がユニークなのはコントロールが「敵をやっつける」という単純なものではなく、「カメラに収める」という一見なんの力もないような行為になっているということだ。
しかしながら、「カメラに収める」、つまり全世界からそれが「見られる」という行為はインターネットが普及した現在では良い方向にも悪い方向にも強力な力になり得る。
本作は観客に「見る・見られる」の暴力性、加虐性について思索を促してくれるだろうと思う。同時にとあるシーンでは「見る・見られる」が人間同士の理解や愛にもなるという希望も垣間見ることができる。
と、同時にホラー映画、スペクタクル映画として何も考えずに見ても存分に楽しいエンターテイメントになっている。映画館で見られるうちに絶対見た方がいい1本だ。
