KITAYUMASSACRE

THE BATMAN-ザ・バットマンーのKITAYUMASSACREのレビュー・感想・評価

2.8
今までのどのバットマン映画よりもリアリティがありつつ、ちゃんとゴッサムシティを描いていて、コミックと実写映画のバランス取りが非常にうまいと思った。
しかしながらこの映画は推進力に欠けると思う。推進力とは、例えるならホラー映画において殺人鬼や幽霊に襲われて殺されずに生き延びることも映画の推進力になる。
もちろんそのためには殺されるかもしれない主人公はどうでもいい人物であってはならず、主人公に”共感”させるプロセスが必要になる。
そのプロセスは別に主人公でなくてもいい。「バットマンリターンズ」ではバットマンはあくまでも中心にいるだけで観客が”共感”するのはペンギンやキャットウーマンであり、それが映画の強い推進力となっていた。
本作は(相当想像力が豊かでなければ)どの登場人物にも”共感”できないし、それ故に物語としての推進力が足りないと思う。
本作の物語を推進させているものはリドラーの謎だが、その謎に関しても一体何に関しての謎なのかが序盤は分からず、明かされたところで本作の登場人物に共感していない自分にはどうでもいい情報としか感じることができなかった。また、リドラーの標的は汚職にまみれた人間ばかりのため、そいつらを助けるために何とかしなければ、と思わせる力も薄い(リドラーの標的がその家族ごと殺す、などであれば本作のインパクトはもっと大きかったと思う)。
多分これがドラマシリーズなら面白かったと思う。ただこれは個人的によくできた「映画」とは言えないと思う。
KITAYUMASSACRE

KITAYUMASSACRE