間宮くんの真摯な演技がとても良かった。
丑松が実直な青年であるからこその苦悩と葛藤がヒリヒリするような切なさで表現されていた。
佇まいや言葉遣いも美しかった。
特に、教え子たちに隠していた秘密を打ち明けるシーンの長台詞と感情のこもった演技は素晴らしかった。
教え子たちと一緒に私も泣いてしまった。
そして矢本くん演じる銀之助との友情の描写もとても良かった。
銀之助が凄くいいヤツで救われたし泣かされた。
ただ、惜しかったのは恋愛描写。
丑松と志保がお互いに惹かれあい想い合うようなエピソードがあまりに控え目で淡白すぎて、少々物足りなかった。
この辺りをもう少し丁寧に描けていたら、もっと二人の想いに共感が強まって切なさも増したのになぁと思うともったいない。
島崎藤村の原作は未読だけれども、これは原作を読んだらきっとより重みを感じる作品なのだろうと思う。
部落差別については知識としては知っていたもののその実態をよく知らなかったので、穢多と呼ばれる人達の受けるあまりに残酷な仕打ちに胸が痛んだ。
「例えもし部落差別がなくなったとしても、人はまた別の差別を繰り返すだろう。何故なら人間は弱いから。
弱いから差別をするのだ。」
劇中でのそんなような台詞が今もなお心に深く突き刺さるように、残念ながら現代社会においても世界中で色んな差別が蔓延し、問題はなくならない。
時代が移り進んでも人間の弱さ、愚かさは相変わらずということなんだろう。。