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MEN 同じ顔の男たちのganaiのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
4.0
夫の暴力とその後の死(自死?)を目撃してしまったトラウマから逃れるためにロンドン郊外にカントリーハウスを借りた女性ハーパー(ジェシー・バックリー)が同じ顔の何者かに追われる恐怖を描いたアレックス・ガーランド監督、A24製作・配給作品。

前作「エクス・マキナ」「アナイアレイション全滅領域」でSFを使ってジェンダーギャップを描いてきたガーランドが今作ではホラーに挑んだ。

邦題でネタバレになっているがハーパーが訪れた田舎の村の男性は皆カントリーハウスオーナーのジェフリー(ロリー・キニア)と同じ顔をしているのだけど、劇中その事には特に言及してないし、ハーパーがそれを疑問に感じている様にも描かれていない。

本当にみな同じ顔なのか、ハーパーが村で最初に会ったジェフリーと他の男たちがステレオタイプの似たり寄ったりな女性感の連中なので同じ印象に感じてしまっているだけなのかもしれない。

出会う男たちが時に夫の死に絡めたりしながら平然とハーパーを非難する発言を繰り返す事によりストレスが溜まってヒステリックにもなっていくのだけど、終盤本格的に怪異が姿を現してくるとハーパーの表情が次第に覚めて冷静になってきて逃げる事さえしなくなるのが興味深い。

あとはリンゴや種子のビジュアルと豊穣を意味する全裸の精霊グリーンマン(なんと「進撃の巨人」がモチーフなのだそう)が繰り返し登場する辺りにセックスや望まない妊娠などもテーマに含まれているんだろうな。

終盤の展開を含めて人種問題をホラーで描いたジョーダン・ピールの「ゲット・アウト」、日常から離れた環境で再出発を試みた主人公が怪異に付き纏われるところは「シャイニング」にも似た印象を抱きました。

あとキャストを調べてて気が付いたのだけど緊急通報のオペレータの声を演じたソノヤ・ミズノって「エクス・マキナ」ではアジア系アンドロイドのキョウコ、「アナイアレイション」ではナタリー・ポートマンの動きを完コピする異生物を演じたガーランド作品の常連さんだったんですね。
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